鼠径ヘルニアの日帰り手術

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアの治療について立ったり、お腹に力を入れたときなどに、ソケイ部(太ももの付け根)に柔らかい膨らみが出来る病気です。 俗に、脱腸といわれるように、腹壁を構成する筋肉の弱い部分から腸管などが脱出する病気です。 押せば簡単に戻ることが多いのですが、次第に大きくなったり押してもなかなか引っ込まなくなり、強い痛みを伴うようになることがあります。 膨らみが押しても戻らなくなることを嵌頓(カントン)といい、この状態が長く続くと脱出した腸管が壊死しお腹を大きく切開し他手術をする必要になり、時には命を落とすこともあります。 そのためソケイヘルニアと分かったら、嵌頓を起こす前に手術することが勧められます。

鼠径ヘルニアの治療について

鼠径ヘルニアの治療について残念ながら現在の医療では、ソケイヘルニアを内服や貼り薬で治す治療法はありません。 外科手術が根治の唯一の治療法です。 当院では、UHS法あるいは、メッシュプラグ法による手術を行っており、病態によりどちらかを選択します。当院ではこれらの手術を日帰りで行っております。手術の傷は鼠径部に横方向に3cm程度の切開で行います。しばらくすると傷跡はほとんどわからないようになります。

当院の手術方法

UHS法

PHS法(プロへリン・ヘルニア・システム)という、Underlay patch、Connector、Onlay patchの一体型メッシュを使用する術式があります。それぞれが弱点部分を補い、総合的にヘルニアの再発を防止できます。このメッシュをさらに改良したのがUHS法(ウルトラプロ・ヘルニア・システム)です。使用するメッシュは、70%の吸収性素材(Monocryl)と30%の非吸収性素材(Prolene)でできており、吸収性素材は手術後約120日で体内に吸収されます。これにより挿入操作をより正確で安全に行うことができ、術後の疼痛を軽減します。また、自然にフィットするため、異物感や違和感もかなり少なくなっています。当院ではこちらの術式を主に行っております。

メッシュプラグ法

メッシュプラグ法とは、傘状のプラグ(栓)を用いて補強する手法です。出てきたヘルニアを本来の場所に戻し、ヘルニアで小腸が出てくる筋膜の弱い部分を補強して再発を予防します。ご高齢で手術時間を短くしたい方に行っております。詳しくは外来でお聞きください。

手術の流れ

Step1術前検査

手術はいくら小さなものでも人の体にメスを入れるものです。御本人の持病、既往症、血液データー、心電図による心臓の状態などを把握しておく必要があるため、お話を伺わせていただき、次に挙げる検査を行います。 採血検査:貧血の有無、基礎疾患の有無、感染症、血液のかたまりやすさ、血液型などについて調べます。
胸部X線検査:肺疾患の有無につき調べます。
心電図:心臓の異常、不整脈の有無などについて調べます。

Step2手術前日

ご自宅で患部周辺の剃毛をお願いします。手術前日は21時までに夕食を済ませてください。飲水は就寝まで可能です。飲酒はお避け下さい。

Step3手術当日

朝起きて飲食はしないでください。胃の中に飲み物や食べ物が有ると麻酔をかけるときに支障をきたす場合があります。 コンタクトレンズ使用の方はメガネを使用してください。朝来院していただき受付後、病室に案内され、点滴を行います。 その後医師から手術の手順等の説明があり、十分納得いただいた後、承諾書にサインを頂き手術室に入ります。

Step4手術室で

手術台で横になった後麻酔準備の注射を肩にした後、心電図、自動血圧計、酸素モニターなどの器械が身体に取り付けられ麻酔の準備を行います。酸素マスクをした後、医師の合図とともに麻酔薬が点滴内に注入され眠くなります。 次に目が覚めたときには手術は終わっています。病気の程度などにより異なりますがおおよそ一時間前後で手術は終わります。 目が覚めるとすぐに歩行 可能となり自力歩行で病室へ帰ることが可能です。

Step5術後

術後しばらく病室で休んでいただきます。この間、飲水や軽食は可能です。しばらく経過を見た後、 創部の確認をいたします。出血等の問題が無ければ帰宅 可能 です。

Step6帰宅時

抗生剤、鎮痛剤等の薬とともに夜間緊急連絡用の医師直通電話番号をお 渡しします。帰宅後気になることや、困ったことがあれば遠慮 なく連絡してください。電車やバスの乗車、車の運転 はお 控えいただき、タクシー等でお帰りください。夕食は飲酒をしなければ特に制限はありません。

治療費の目安

健康保険利用の場合、3割負担で5万円前後、1割負担で1万6千円前後になります。

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03-3424-3360