切らない痔の治療(ジオン注射)

ジオン注射

今、注目されている注射による内痔核の治療法です。
以前は手術でしか治療ができなかったような重症な痔核でも手術をしないで治療をすることが可能です。ただし外痔核に対しては施行できません。
四段階注射法という手技を修得した専門医にのみ施行許可が与えられている治療法です。

治療費の目安

健康保険利用の場合、3割負担で1万5千円前後、1割負担で5千円前後になります。

目次

痔核(いぼ痔)とは?

肛門の少し奥には肛門を自然に閉じるための血管に富んだ柔らかい部分があります。 肛門への負担が大きくなるとその血管は太くなり、蛇行し、静脈瘤のようになります。 それを痔核(いぼ痔)と呼びますが、徐々にうっ血が強くなり出血を起こすようになります。 さらに長く放置すると痔核は大きくなり、支持している組織が引き伸ばされて肛門の外に脱出するようになります。これを脱肛と呼んでいます。

痔核

痔核には、歯状線より直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核があります。 また、内痔核が大きくなって脱出するようになると肛門側の痔核、つまり外痔核を伴って内外痔核という状態になることもあります。

ジオン注による日帰り治療法とは?

「脱出を伴う内痔核」にジオン注を投与して痔核に流れ込む血液の量を減らし、痔核を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。しかも注射翌日から出血が止まり、数日で痔核が脱出しなくなります。 痔核を切り取る手術と違って、痛みを感じない部分に注射するので、「傷口から出血する」「傷口が痛む」というようなことはなく、日帰り治療が可能となりました。

ジオン注とはどのような薬か

ジオン注の有効成分は硫酸アルミニウムカリウム水和物とタンニン酸です。


硫酸アルミニウムカリウム水和物 → 出血状況や脱出状況を改善する。
タンニン酸 → 硫酸アルミニウムカリウム水和物の働きを調節する。
※有効成分の頭文字からALTA(アルタ)とも呼ばれます。

ジオン注の投与の仕方

ジオン注は痛みを感じない内痔核に注射するので痛みはありません。
したがって、麻酔は必要ないのですが、肛門鏡を挿入するのに抵抗がある方には肛門を緩めるために麻酔をかけます。
麻酔の方法については医師にお尋ねください。
ジオン注は四段階注射法といってひとつの痔核に4か所に分けて注射し、薬液を十分に浸透させます。
複数の痔核がある場合は同様に行います。注射後は落ち着くまで30~1時間程度の安静が必要です。

痔核

ジオン注の効果

投与後の早い時期に痔核へ流れ込む血液の量が減り、翌日には出血が止まり、脱出の程度も軽くなります。

腫大していた痔核は次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織も元の位置に癒着・固定して、脱出がみられなくなります。(1週間〜1ヶ月)

・出血が見られなくなります。
・脱出や肛門のまわりの腫れがなくなります。

ジオン注投与後の経過

望ましくない作用(報告例)

  • 当日血圧低下、下腹部痛、嘔気(気持ち悪い、胃のあたりがムカムカする)などの症状がみられることがあります。
  • 翌日肛門部が重いと感じるような違和感(数日でなくなります。)
  • 5〜7日後肛門の投与部分(粘膜)が硬くなる(通常自然に治ります。)
  • 2~3週間後発熱は、投与2週間後までに一過性にあらわれることがあります。
  • 1ヶ月後~1年後この治療法は、痛みが続く・出血・排便がしづらくなる。

熱が出る、などの好ましくない作用があらわれることがあります。
そのため定期的に通院していただく必要があります。

排便について

  • ジオン注治療後の最初の排便は自宅でもかまいませんが、5分程度で。当日の排便もかまいません。
  • 排便時に多少の出血が見られる場合があります。
    ※ ジオン注治療では1~3か月目ごろに出血がみられる場合があります。
  • 便が出ないとき、少ないときは浣腸をする場合があります。

通院について

  • ジオン注治療を受けた翌日に、診察を受けてください。
  • 好ましくない作用(副作用)が起きることもあるので、医師の指示にしたがい定期的に通院してください。

※ 他の医療機関で直腸肛門の診察を受けられる場合には、ジオン注治療を受けたことを必ずお伝えください。
(治療後は注射した場所が硬くなっていることがあり、他の医療機関で診察を受けられる場合、この症状を誤って悪い病気と診断される可能性があるので、ジオン注治療を受けたことを申告してください。)

※普段と違った気になる症状(痛み、出血、排便がしづらい、発熱など)があらわれた場合には、すぐに担当医師の診察を受けてください。
(副作用が隠れていることもありますので十分に検査・診察を行い、症状に応じた適切な処置を行います。症状によってお薬(炎症を抑えるための抗生物質や消炎鎮痛剤、あるいは便をやわらかくするための緩下剤)の投与、坐浴、手術を行うことがあります。)

投与後の生活で注意すること

ジオン注による治療は痛みが少なく、通院で治せることが特長です。時には痛みを感じる場合もありますが、早く治すためにも以下の点をお守りください。

入浴について

・ジオン注治療の当日は入浴できませんが、翌日から普通に入浴しても大丈夫です。
・当日シャワーを浴びることはかまいません。

食事について

・アルコール類は完治するまで飲まないでください。(ノンアルコールも含む)
・わさび、胡麻、とうがらし、カレー、コーヒーなどの刺激物は3週間程ひかえるようにしてください。
・油っこい食事はしばらくひかえるようにしてください。

日常生活について

・仕事復帰は翌日から可能です。ただし、2週間くらいは重いものを持つなど、お尻に力が入ることは避けるようにしてください。
・自動車、オートバイ、自転車の運転は約1週間避けてください。
・椅子に座る場合は深く座り、1時間毎くらいに立つ、歩くなど、休憩をとるように心がけてください。

痔にならないために日頃気を付けるべき事

規則正しい排便習慣を身につけましょう
・便意があったら我慢せずトイレに行く
・無理に出し切ろうとせず、排便時間は5分以内で。

便通に良い生活を心がけましょう
・便通を整えるために食物繊維や水分を摂る
・下痢を防ぐためにアルコール類、香辛料などはひかえる
・腸の働きをよくするために適度な運動をする
・便秘の原因になる無理なダイエットはしない
・お風呂に入って血行を良くする
・長時間、同じ姿勢をとり続けない
・過労やストレスを避ける
・身体を冷やさない