大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の粘膜に隆起したできものです。この中には、将来大腸がんになるものがあり、放置することが危険な場合があります。 そこで、大腸内視鏡検査で大腸のポリープが発見された場合、内視鏡下に切除を行い、大腸がんで大きな手術をしなければならないことを防ぎます。また初期の大腸がんの場合も、内視鏡で切除可能です。
大腸ポリープの種類
過形成性ポリープ
癌にはならない
腺腫性ポリープ
癌になる可能性がある
進行癌になってからでは外科手術が必要となり再発の危険もありますが、ポリープの段階でしたら内視鏡で簡単に切除でき、治療が終わります。 当院では、日帰りでの内視鏡によるポリープ切除を行っております。
- 中央の小さな膨らみがポリープ
- 染色して切除範囲を確認
- 切除後のあと
大腸ポリープ切除の重要性
当院では、内視鏡検査で発見された大腸ポリープはその場で切除する日帰り手術を行っており、回収した組織で生検を行っています。大腸がんは大腸ポリープが成長していく過程の中で発生します。早期の大腸がんには自覚症状がなく、何年もかけて進行がんになります。進行がんになると血便や便秘、下痢などの症状が現れることが多くなりますが、まったく症状のないまま進行していくケースもあります。やがてリンパ節や肝臓などに転移していきます。大腸ポリープを発見して切除することは大腸がん予防になり、早期大腸がんでも内視鏡による切除で完治が望めますが、自覚症状がない段階での検査が不可欠です。
大腸ポリープの切除方法
スネアポリペクトミー
5~10ミリ程度の小さなポリープを内視鏡的に切除する一般的な手法です。ループ状のスネアをポリープにかけて締め付け、高周波でポリープを焼き切ります。
コールドスネアポリペクトミー
スネアをかけて締め付け、電流を使わずに切除する手法で、術後出血や穿孔のリスクを抑えられる手法です。切除直後の出血を防ぐ処置を行うため安全性も高くなっています。
内視鏡的粘膜切除術
そのままではスネアをかけることができない平坦な病変を切除するための手法です。粘膜の下に生理食塩水などを注入して病変を持ち上げ、スネアをかけて高周波で焼き切ります。高周波の熱が粘膜より下の層には伝わらないため、安全な切除が可能です。
手術後の注意点
術後1週間は次のことをお避け下さい。
- 飲酒
- 入浴(シャワー浴は構いません。)
- 激しい運動
- 唐辛子等の刺激物を食べること
偶発性について
腸の動きを抑える注射薬によるショック、内視鏡操作によっておこる出血や穿孔、腹膜炎などが主な偶発性です。鎮静剤を使用した場合は呼吸抑制や血圧低下などが偶発性です。その発生頻度は0.04%、死亡率は0.0081%と言われています。万一偶発症が発生したときは、最善の処置をいたします。
出血
ポリープ切除後に最も多いのは傷口からの出血で、まれに発生するとされています。術後出血は経験が豊富な医師であれば発生頻度を低くすることはできますが、完全にゼロにすることは不可能ですので、出血を防ぐためには術後の注意点をしっかり守ることが重要です。 ほとんどの出血は、術後2~3日以内に起こり、1週間程度で出血頻度は減っていきます。便に少量の血液が混じる程度であれば安静にして様子をみることで自然に止血されます。ただし、大量の出血がある場合には内視鏡による止血が必要になるケースもありますのですぐに受診してください。
穿孔
大きなポリープを無理に切除したり、切除の際に通電をし過ぎるなどが主な原因で起こります。熟練した医師であればリスクを減少させることが出来ます。穿孔があった場合には緊急な開腹手術が必要になります。